リハビリテーション室

私たち、リハビリテーションスタッフはリハビリテーション医学の根幹であるチーム医療に基づいて地域住民の方々に急性期及び回復期を中心としたリハビリテーション支援サービスを実践しています。
機能障害や能力低下の改善から生活の質の向上まで基本的人権を尊重したリハビリテーション支援サービスを持ち、他の医療機関や社会福祉資源との連携を密にし、地域社会への貢献を目指しています。
また、患者さん中心のリハビリテーションを提供できるように取り組んでいます。そのためリハビリテーションスタッフは、各種学会での研究発表、研修会への参加など自己研鑽に努めています。

所属職員数

常勤医師1名、理学療法士35名、作業療法士15名、言語聴覚士3名、助手2名

業務紹介

(1)理学療法分野(Physical Therapy)

寝返りや起き上がり、座位や歩行といった基本動作訓練を中心に、一般に考えられている高齢者、事故などにより発生した身体機能障害の回復のためのトレーニングのみならず、脳卒中での麻痺などから、循環器・内科・難病疾患等の身体的な障害を持つ人に対して、その基本的動作能力の回復を図ることを目的に、治療体操その他の運動を実施しながら患者さんの自立と社会復帰へのお手伝いをしています。

(2)作業療法分野(Occupational Therapy)

主に作業活動を通して上肢の機能回復や高次脳機能障害または精神面にアプローチを行い、その人にふさわしい日常生活動作改善を目的としています。必要に応じて調理や手芸など作業への参加を実践も交えながら実施します。

(3)言語聴覚部門(Speech and Language Therapy)

言語訓練、構音訓練、嚥下訓練、高次脳機能障害、の訓練を主に行ない、コミュニケーション能力の再獲得と摂食嚥下機能向上に重要な役割を果たしています。 脳血管障害や交通事故などの頭部外傷などによって、失語症(聞く・話す・読む・書くの障害)、構音障害(発声・発音の障害)、高次脳機能障害(記憶・注意・認知などの障害)、摂食・嚥下障害(食べる機能の障害)など、各機能が損なわれる事があります。円滑なコミュニケーションや、日常の生活に影響を及ぼします。言葉によるコミュニケーションの問題や、摂食・嚥下の問題に対し、対処法を見出すために評価、訓練を行い、機能の獲得や改善及び能力の回復・拡大を図り、より良い生活を送る事ができるように支援します。

施設基準紹介

(1)脳血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)

脳梗塞、脳出血、頚椎症、特定疾患(パーキンソン病、脊髄小脳変性症、重症筋無力
症)などの疾患に対し運動麻痺、高次脳機能障害、嚥下障害などの様々な症状改善に
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が介入します。

必要に応じて原疾患への治療と並行してベッド上でのリハビリテーションを開始します。臥症による廃用症候群の予防、将来的に変形・拘縮が生じないよう関節可動域訓練を行っていきます。リスク管理上で問題がなければ、座位訓練も開始します。患者さんの回復に合わせ、できるだけ早くリハビリテーション室での訓練に移行します。リハビリテーション室では、寝返り、起き上がりなどの起居動作訓練、立位、歩行訓練などを行っていきます。疾患により様々な症状が出現し患者さんの症状に合わせたリハビリテーションプログラムを立案、実施し、より良く、より早く患者さんの機能が回復するように努めています。

身体機能の回復に留まらず、日常生活でその機能がつかえること、自宅復帰・社会復帰がリハビリテーションの最終目標です。ご家族をサポートしながら、主治医・看護師・ソーシャルワーカー・リハビリテーションスタッフが密に連携し、身体機能の回復、日常生活の改善、自宅復帰、社会復帰を目指したリハビリテーションを行っています。

(2)運動器疾患リハビリテーション(Ⅰ)

大腿骨近位部骨折、脊椎部圧迫骨折、変形性膝関節、変形性股関節症、前十字靭帯損傷、上腕骨骨折、橈骨・尺骨遠位端骨折、肩腱板損傷などの疾患に対し術前、術後のリハビリテーション治療を理学療法士、作業療法士及び言語療法士が担当します。
運動器リハビリテーションの対象疾患には以下のものがあります。
①外傷疾患:スポーツ外傷、交通事故、その他の外傷疾患
②関節疾患:人工関節、靭帯形成術、関節鏡など手術的処置が主となる疾患
③脊椎疾患:脊椎圧迫骨折、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など保存的治療が主となる疾患
④その他:骨軟部腫瘍、肩関節周囲炎(五十肩)、高齢者などでおこる合併症

当院では、上記のような疾患に対して、それぞれの患者さんにあった日常生活の自立や社会生活の獲得を目指し、患者さんのペースに合わせた無理のないリハビリテーションを心掛けています。
リハビリテーションの内容は、筋力維持増強訓練、関節可動域訓練、歩行訓練、日常生活動作訓練などです。
リハビリテーション開始時は、病棟のベッドサイドからリハビリテーション室での訓練を通して、患者さんの社会生活の獲得を目指し、実用的な日常生活に要する能力を引き出していきます。退院前には、必要な患者さんに対して退院後の運動指導、福祉機器、介護保険などの社会資源の紹介も行っています。

(3)呼吸器疾患リハビリテーション(Ⅰ)

咳、痰の多い慢性気管支炎やタバコが主な原因である肺気腫を慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、肺炎などの疾患に対し様々な症状改善に理学療法士、作業療法士が介入します。

呼吸リハビリテーションの大きな骨組みは、以下の通りです。
①服用している薬の理解と、正しい薬の使用方法について(薬物療法)
②体重管理や栄養の重要性について(栄養療法)
③病気の状態にあわせた酸素吸引の必要性について(酸素療法)
④口すぼめ・腹式呼吸の方法、痰の出し方について(呼吸理学療法)
⑤患者さん各個人にあった運動療法と指導について(運動療法)
⑥日常性格における注意点や指導について(日常生活指導)

特にリハビリテーション科では、④⑤⑥を中心に入院および外来でも行っています。
当院には、認定呼吸療法士が常勤しております。

(4)がんリハビリテーション

現在、胃がん、大腸がん等の消化器がんに対し手術前、手術後のリハビリテーション治療を理学療法士、作業療法士が担当します。

がんリハビリテーションの目的は、がん患者さんの生活機能と生活の質の改善を目的とする医療ケアであり、がんとその治療による制限を受けた中で、患者さんに最大限の身体的、社会的、心理的、職業的活動を実現させることです。

当院では、がん患者さんの呼吸器合併症の予防のため、禁煙指導や腹式呼吸・排痰の指導を手術前から行っております。手術後は、翌日より腹式呼吸や離床を促し、術後呼吸器合併症(肺炎、無気肺、荷重側肺障害 等)の予防と早期退院に努めております。

当院でのがんリハビリテーションは、消化器がんに対し手術を受けられる患者さんの中で、特に呼吸器合併症のリスクの高い70歳以上の患者さんを対象としております。また、既往にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や片麻痺等を有しており、術後のADL拡大に支障のでる可能性が高い患者さんに対しても、積極的にリハビリテーションを実施しております。

がんリハビリテーション研修を修了した医師2名、看護師1名、理学療法士4名、作業療法士1名が常勤しており、がん患者さんの生活機能と生活の質の改善に努めております。

回復期リハビリテーション病棟とは

①脳出血、脳梗塞、脊髄損傷、頭部外傷
②脊椎(背骨)の骨折、大腿骨の骨折、骨盤の骨折の方、および手術後の方
③外科手術や肺炎などの治療の安静により日常生活で介助を要する方
④義足に装着や歩行訓練が必要な方
上記に該当する方で集中的にリハビリテーションを行うことにより、日常生活動作(食事・整容・排泄・更衣)の向上による寝たきりの防止と自宅復帰・社会復帰を目的とした病棟であります。
病棟では、患者さんの状態に合わせて、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門スタッフが共同で、目的に沿ったリハビリプログラムを作成し、きめ細かい対応を行い、1日も早い家庭復帰を目指しています。
当院では病棟専従のリハビリスタッフ(理学療法士11名、作業療法士5名、言語聴覚士1名)を配置し、365日体制でリハビリテーションを提供しています。病棟専用のリハビリテーション室を配備し、実際の患者さんの日常生活のタイミング合わせたリハビリテーションの提供を目指しています。
必要に応じてスムーズな自宅退院を行うためにご自宅への訪問を行い、手すり・段差の解消・福祉用具の導入等のアドバイスを行ったり、動作の指導やご家族への介助方法の指導などを行っています。

デイケア(50名)

最大の目標は、利用者さんが、自宅での生活を続けていけるように支援していくことです。そのために、心身機能の維持・回復のリハビリテーションはもちろんですが、ご家族への介助方法の指導や適切な福祉用具の選定・適合、住宅環境整備のアドバイスも行います。
また、実際の生活場面に必要なリハビリテーション内容を提供できるように、介護支援専門員(ケアマネージャー)と連携し、ご自宅を訪問し状況の把握に努めています。
利用者さんが、デイケアを利用される1日を生活リハビリととらえ、看護師や介護福祉士と連携し、ご自分ができる能力を引き出せるようなリハビリテーション介護を提供しています。

認定資格

心臓リハビリテーション指導士 1名
3学会合同呼吸療法認定士 2名
糖尿病療養指導士 1名
介護支援専門員 2名
福祉住環境コーデイネーター2級 3名
福祉用具プランナー 2名
認定言語聴覚士(高次機能分野) 1名