泌尿器科

泌尿器とは、尿を作り出し、体外に排出するために働く器官をことです。尿を分泌する器官と書いて「泌尿器」となります。泌尿器に属する体内の器官は、尿を作り出す腎臓、膀胱に尿を運ぶ尿管、尿を一定量ためる膀胱、膀胱から尿を排出する尿道などに分けられます。また、泌尿器は尿が流れる通路という意味で“尿路”とも呼ばれます。泌尿器科は泌尿器の疾患や異常を扱いますが、それだけではありません。発生学上、そして部位として分けて考えられないという点で男性生殖器も診療範囲となります。当科ではその中でも悪性腫瘍、感染症および尿路結石症を柱に診療を行っています。
悪性腫瘍のうち前立腺癌は早期発見できれば、手術療法、放射線療法、ホルモン療法、PSA監視療法など、病状と個々人の価値観に応じて、いろいろな治療から選択ができます。また、手術治療について近年、ロボット支援下腹腔鏡手術が泌尿器科分野にも盛んに取り入れられており、開腹手術と比べると低侵襲で合併症の少ない治療を提供できる環境が整ってきています。
一方、PSA検診を適切な間隔で受診せずに癌が見つかった場合は、進行(転移)癌の可能性が高くなります。この場合、治療選択肢は限られ、また、病状の進行や治療の副作用などで生活の質は低下します。前立腺癌において前立腺生検は癌の確定診断とともに治療方針を決める場合に必要不可欠の手段です。しかし、その合併症など不利益は必要最低限に抑える必要があります。そのため当科ではMRIによる病巣の検索を行い、前立腺生検の適応症例の選別を行っています。
尿路腫瘍(腎盂癌・尿管癌・膀胱癌)に対しては造影CTやNBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)を用いた内視鏡検査で上皮内癌や初期癌も含めた診断を正確に行い、手術・術後療法に反映させ術後再発を抑える工夫を行っています。
腎臓癌は以前、開腹手術で腎臓を摘出していましたが、近年は腹腔鏡を用いた創部の小さい手術や早期であれば腫瘍部分のみを切除することで腎機能を温存する手術も行われています。また。進行癌に対しても本庶佑先生が2018年にノーベル生理・医学賞を受賞された免疫チェックポイント阻害因子を用いた治療が適応となり、治療の選択肢が広がってきています。
尿路感染症は大きく泌尿器科疾患が基礎にある複雑性尿路感染症と基礎疾患のない単純性尿路感染症に分類できます。複雑性尿路感染症、特に尿路結石による水腎症を伴う複雑性尿路感染症の急性増悪をきたしたときは敗血症の重症化を防ぐために時機を逸することなく治療を行う必要があります。
腎・尿管結石など上部尿路結石は近年の調査では罹患率は横ばいですがそのピークは50歳代から60歳代へ高齢化してきています。とくに60歳代以降の女性の頻度が増加しています。また膀胱結石は近年、特に高齢者の増加傾向を認めます。
いずれの疾患についても必要時は多数の症例経験を有する大学・がんセンター・周辺高機能病院と連携した治療を行っています。そして術後補助療法・経過観察については可能な限り当科で行うことで地域患者様のQOLを念頭に診療を行っております。 当院では地域に信頼される医療を目指しております。どうぞ、今まで以上に気軽にご相談いただければ幸いです。

スタッフ紹介

西澤 秀和

専門分野 泌尿器科
専門医・認定・
所属学会等
・日本泌尿器科学会専門医

山田 泰

専門分野 泌尿器科
専門医・認定・
所属学会等
・日本泌尿器科学会専門医、指導医
・日本がん治療認定機構暫定教育医、
 がん治療認定医
・日本感染症学会感染管理医師